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PROGRAM

 

1.ジャグル(Jagul)

〈解説〉これはバロン・ダンスの前奏曲としてよく演奏される曲ですが、もともとはチャロナランという舞踊劇(バロン・タンスのルーツ)の為の曲です。正式にはジャグル・ブバロンガン(バロン用のジャグルの意)といいます。ジャグルとは歌の形式の一種のことですが、これは歌の伴わない演奏だけの曲です。

 

2.パニャンブラマ(Panyembrama)

〈解説〉パニャンブラマは演奏会に来てくださったお客様を歓迎する為の踊りです。これは寺院のお祭りで踊られる「神迎え」の踊りを日本にして1970年代に新しく作られた踊りです。

 

3.マルガパナイ(MargaPati)

〈解説〉これはジャングルの中をさまよい歩く獅子の様子を描いた舞踊であるといわれます。しかし別の説では獅子に変身したある王が森の中で修行している様子を描いたものだともいいます。いずれにしても獅子の動きを模倣しているという点では共通しています。故にこの踊りは男性的な動きが中心となっていますが、面白いことにこれはほとんどの場合男装をした女姓によって踊られます。

 

4.トペン(Topeng)

〈解説〉トペンとは一般的には「仮面」の意味ですが、バリ島では伝統的仮面舞踊のことを指します。トペンには様々なストーリーがあります。多くは19世紀までパリで栄えた王朝の歴史を扱っていますが、その物語の中では必ず「今」の人々の暮らしが問題にされます。この踊りは一人の踊り手が次々と仮面を付け替えて沢山のキャラクターを演じわけるところが見所です。登場するキャラクターは「強い将軍」「やや滑稽な将軍」「歳老いた将軍」「家来」「王」「民衆」などです。

 

【解説】

〈ガムランについて〉
ガムランはインドネシアのバリ島やジャワ島を中心に発達した伝統音楽です。その特徴は様々な形状の旋律打楽器を組み合わせて合奏を行う点にあります。それらの旋律打楽器は主に青銅と竹を材料として作られますが、これは東南アジア音楽一般に共通する特徴です。ガムランで用いられる青銅楽器は日本の梵鐘とほぼ同じ素材です。しかし梵鐘が鋳物であるのに対してガムラン楽器はすべて鍛造、すなわち打ち出しによって成型されているのが特徴です。
バリ島はよく「神々の島」と呼ばれます。その理由はバリ人の9割近くがバリーヒンドゥ教(正式にはヒンドゥーダルマといいます)を信仰しているためです。これはインドから伝来したヒンドゥ教とバリの土着信仰が合体したものでインドネシアの他の地域がほとんど一神教のイスラムであるのに対し、唯一このバリ島だけに多神教のヒンドゥが残っているわけです。有名なケチャやバロン・ダンスなど今日バリ島で見られる様々な音楽や芸能はすべてそのルーツに何らかの宗教儀礼との関わりがあるといわれています。
バリの人々の生活はそれらヒンドゥ寺院を中心に発達した村落社会で営まれています。主な産業は従来は水田における稲作がメインでしたが、近年の近代化、観光化に伴ってガイド業や運送業などの職業が増えてきました。しかし生活の基盤は依然バンジャールと呼ばれる村落共同体を中心にしています。ガムランや踊りの活動もこのバンジャール毎に行われています。各バンジャールには公民館があり、そこにガムランの楽器も置かれています。村の若者たちは仕事を終え夜になるとその公民館に集まってガムランや踊りの練習をします。やがて寺院のお祭りの時にはその練習の成果が神々と村人の前で披露されるわけです。

 

 

 

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